2014年平和ツアーの感想俳句

 

2014年平和ツアーで

  沖縄県那覇市 鎌田 結凍地(隆、72歳)

  農村交流で

古里で昔見た田植え異国(とつくに)で

遠き日の植田に写る人と稲

-北ベトナムは二期作の最初の田植えの時期-

南国の稲田に映る十六夜(いざよい)の月

交流の庭に降り来る白い月

-ときあたかも如月十六夜-

六代で途切れる余感農夫の憂い

-近郊農村は今消滅の危機-

みな地産美味(うま)し料理に地のお酒

遠来の客に酒注ぐ農民みな陽気

盃干せばまた次の酒止め処(ど)なし

カチャーシーに子らも加わる農家の庭

遠来の客を見送る畦道(みち)の列

月一つ影絵のような人続く

民族学博物館で

民族の多様さ競う博物館

水面を跳び舞う傀儡(にんぎょう)ユーモラス

ツーズー病院で

跳び回る子らの将来奪いし魔の薬剤

母の手に抱かれたかったか瓶の子ら

瓶のなか何かを叫ぶ小さい(ちさい)口

目を背(そむ)けるな朋これが戦争だ

満面の笑顔で応える障害児

障害を蹴飛ばせ子らに手を伸べる

ー子らが陽気なだけ彼らの将来を奪った戦争犯罪を憎む-

カンザーの大マングローブ林

救国の闘いの跡大密林

登り来て足下(そっか)に広がるマングローブ林

濃緑の林に黒し蝙蝠(こうもり)の群れ

予期せぬ大雪で

未だ着かぬ雪国の朋いま何処(どこ)に

福島はベトナムより遠い邦

連帯の予定狂わす雪憎し

顔揃い喜び弾けるカチャーシー

旅仲間揃い挨拶思わず涙声

ーあと一時間でも沖縄と福島の交流が欲しかった。なぜ両県で来たかの意味を互いに確かめたかった-

講演会で

原発は危険静かに諭すアジアの友

無駄足で後追いするな友の国

彼(か)の国へ届け友の切なる声

交歓の場

もてなしの茶の歌でもてなす異国の友

練習の成果芭蕉布の二部合唱

南国に郷里の音色尺八静か

国を超え歌のスクラムベトナム行進曲

指揮者の手爽やかに歌始まる

国を超え寸時に笑顔カチャーシー

ーカチャーシーは平和と友情のしるしー

ホーチミンへ

ベトナムは冬から夏へひとっ跳び

ホーチミンの活気バイクの大奔流

クルーズ船彼(か)の国の繁栄(さかえ)の証しか

旅の終わりに

戦争を改めて語る若人(わこうど)良し

講演の意味噛みしめて旅終わる

先帰るバスを見送る別れの舞

ー航空便の関係で帰途に就く福島組を沖縄組はカチャーシで見送った。さらば朋 しばしの別れ!-

追記 平和ツアーでの筆者の心情を表したものとして掲載させて頂いた。それは、最後に福島と沖縄の全メンバーが揃ったときの感激、初めての農村交流の爽やかなひととき、ツーズー病院での悲しい現実などなどである。

 

以上をもって、ベトナム平和ツアー記録・感想文集・前半を終わり、後日改めて、今度は沖縄組の皆さんの原稿を紹介します。今後ともご受信・ご愛読をお願い致します。